国立研究開発法人 科学技術振興機構

自然・科学を楽しく学び、伝えたい
〜科学の甲子園を原点に〜

寄稿:2023年3月

写真:宝蔵 蓮也さん

宝蔵 蓮也さん
ハードテック系ベンチャー企業 広報・マーケティング担当
(第1回科学の甲子園全国大会 宮崎県代表)

 第1回科学の甲子園全国大会に、宮崎県代表チームのキャプテンとして出場させていただきました、宝蔵蓮也と申します。

科学の甲子園出場:井の中の蛙、大海を知る

 高校2年生のとき、チームメイトとなる同級生が持ってきた新聞記事で「科学の甲子園」の創設を知り、中のいい友人同士で組んだチームで県予選を突破して、全国大会に進出しました。

テレビを見る青い服を着た男子生徒と取材記者
会場片隅のテレビで甲子園の試合を応援。当時の全国大会会場は甲子園球場からわずか数キロの場所にあり、非常にもどかしい思いでした。

 全国大会での思い出は、筆記競技での3位、走らなかったクリップモーターカー、センバツ甲子園との同時出場などいろいろありますが、何にも代え難い思い出は、全国から集った高校生との交流です。最先端の科学のトピック、東北の高校生から聞いた被災の経験、変わった校則など、あらゆる話題で、夜更けまで語り明かしました。

 全国から集った、尖っていて面白い、多才な高校生たちの話はとても面白く、自分が生きてきた世界・培ってきた価値観がいかに狭かったのか思い知り、それと同時に、まだ知らない世界が広がっていることに高ぶる気持ちが抑えられませんでした。「参加することに意義がある」とはまさにこのことでしょう。これから全国大会に出場する皆さんには、競技はもちろんですが、それと同じくらい、あるいはそれ以上に、全国の高校生との交流をぜひ大事にしてみてください。たくさんの新しい出会いと気付きが待っているはずです。

大学・大学院:2つの視点での多角的な学び

 科学の甲子園で広い世界や多彩な同世代を知った私は、大学・大学院では、学際的な履修が可能な課程を選び、2つの柱を軸に学びを進めました。一つは、大好きな地学を中心とした、人と自然の関わりについての学び、そしてそれ以上に力を入れていたかもしれない(?)もう一つの分野が、知的エンタメを使ったイベントや学びの創造です。

 科学の甲子園や科学系のオリンピック、高校生クイズなどをきっかけに、頭を使った競技やゲームが大好きになった私は、そのような場を自分でも作りたいと思い、自分でサークルを立ち上げたり、クイズ大会でスタッフをしたり、クイズ番組に出演してみたりと、幅広く学びを進めてきました。それらのコンテンツ制作に取り組むうちに、ゲームを使った楽しい学びを創り出したいという思いにも駆られ、サイエンスコミュニケーターの資格を取得するなど、多角的な学びと実践経験を培うことができました。自分が携わったイベントで楽しんでいる参加者のみなさんの顔を見たり、感想を読んだりすることに、何よりもやりがいを感じました。

 大学院を残念ながら経済的事情で中退してしまった私ですが、ハードテック系ベンチャー企業を立ち上げた友人に声をかけてもらい、今はその会社で広報やマーケティングの仕事をしています。会社が持つ新しいユニークな技術を、いかに知ってもらえるか、分かりやすく「伝わる」PRができるか、そして売上や会社の成長につなげられるのか、日々悩み忙殺されながらも、科学の基礎知識とクリエイターとしての経験を武器にして、少しずつ前に進んでいます。

 そんな私の今の夢は、自然・科学の楽しさを伝えるクリエイター、エンターテイナーになること。忙しい日々の中でも、仕事で得られるノウハウや、自力で学び取る知識を少しずつ積み重ねて、自分がやりたいこと、自分の武器、いろいろなものを見つめ直しながら、多くの人に楽しく科学を学んでもらえるようなコンテンツを生み出したいと思い、日々思案中です。特に、科学教育のゲーミフィケーションに取り組んでみたいと思いながら、暇を見つけては制作と実践活動を続けています。

図や表を使ったオリジナルの謎解き問題
科学に親しみをもってもらいたいと思って、謎解きの問題を作っています。
これは工学実験探査機「はやぶさ」帰還10周年を記念して作った問題です。ぜひチャレンジしてみてください。

 今でもこうして科学に興味を持ち続け、実践活動を続ける原点の一つは、間違いなく、科学の甲子園にあったと思います。今年も、高校生の皆さんの活躍に元気をもらいながら、初心に立ち返って、自分も頑張って前に進んでいきます。