国立研究開発法人 科学技術振興機構

第13回全国大会ダイジェスト・レポート

都道府県予選を勝ち抜いた282名の中学生が
チームワークで科学の難問に挑む

2025年12月12日~14日、「第13回 科学の甲子園ジュニア全国大会」が兵庫県姫路市の「兵庫県立武道館」で開催されました。夏から秋にかけて各地で行われた都道府県大会には、総計27,474名の中学生が参加。都道府県大会を経て選ばれた各代表チーム6名、計282名がチームワークを生かして理科や数学などの複数分野に関する知識とその活用力を競い合いました。厳しい寒さの中での開催となりましたが、会場は選手たちの科学への熱い思いと活気にあふれ、大いに盛り上がりました。

選手全員の集合写真
各都道府県大会を勝ち抜いた全47チーム282名

地元愛が詰まったフラッグや演出に沸いたステージパフォーマンス

12月12日午後に行われた開会式では、司会による「第13回科学の甲子園ジュニア全国大会」の掛け声に続いて、選手全員で拳を掲げて「開幕!」を宣言しました。

ステージ上に立つ男性と拳を掲げる観客席の人たち
選手団全員による拳を掲げての開幕宣言

恒例の出場チーム紹介では、北海道から順に全47チームの選手たちがステージに登壇。地元の特産品や観光名所などのイラスト、関係者からの応援メッセージなどが描かれたフラッグはもちろん、選手たちが発する意気込みや決めポーズの一つ一つにも各チームのこだわりが光り、都度観客席からは大きな歓声と拍手が起こりました。

ステージ上でポーズを決める選手たち
各都道府県代表チームによる
ステージでのパフォーマンス

開会挨拶では、国立研究開発法人科学技術振興機構の橋本和仁理事長が2025年にノーベル賞を受賞した坂口志文・大阪大学特任教授(生理学・医学賞)と北川進・京都大学特別教授(化学賞)のお二人について触れ、「皆さんもどうか理科や科学を好きになり、好奇心を大切にし続けてください」と述べました。続いて、開催地である兵庫県の井野健三郎中播磨県民センター長と姫路市の岡本裕副市長が登壇し、全国から集まった選手たちを歓迎しました。式の最後には、抽選によって決定した青森県代表チームの2名が選手宣誓を行い、3日間の大会の幕が切って落とされました。

選手宣誓をする男女2人
青森県代表チームによる選手宣誓

実技競技①:身近な鏡の不思議を科学的に解き明かす

大会2日目の12月13日は、筆記競技と実技競技2種目に挑みました。

実技競技①は「曲面鏡の世界」と題した物理分野からの出題でした。私たちの身の回りには、用途に応じたさまざまな鏡があります。例えば、車にはバックミラーやサイドミラー、姿見など3種類の鏡が取り付けられ、道路には安全確認のためのカーブミラーが設置されています。反射型望遠鏡や化粧用拡大鏡の他、ソーラークッカーやBSアンテナも鏡の性質を利用した道具として知られています。

実技競技1に取り組む選手たち
実技競技1の競技会場

そこで、実技競技①では、日常生活に身近な鏡や鏡の性質を応用した道具に使われている反射の特徴について、観察や実験をしながら明らかにしていく課題が出題されました。

選手たちはまず、鏡ではなくステンレス製のお玉を使い、お玉の内側(汁をすくう側)と外側では見える像が全く異なり、さらに顔との距離によっても像の見え方が変化することを体験しました。続いての課題は、平面鏡・凸面鏡・凹面鏡を用いて、鏡に映った像をタブレットPCで撮影・観測したり、レーザー光線を使って反射の様子を計測したりして、それぞれの鏡で光がどのように反射するかを確認するというもの。そして最後の課題は、これまでの観察や実験で得た知識を生かし、レーザー光を使わずに化粧用拡大鏡の曲率半径を測定する方法を考え、実際に測定するというものでした。

与えられた課題を指示通りに計測するだけでなく、鏡の曲面で反射する光の性質を正しく理解しているかが問われる内容となっており、競技終了ぎりぎりまでメンバー間で測定結果を確認したり、意見を交わしたりする選手たちの姿が見られました。

実技競技1に取り組む選手たち
お玉やレーザー光線を使って反射の様子を観察し、
鏡の性質について考察する選手たち

実技競技②:未来の乗り物「リニアモーターカー」を姫路に再現!

昼食後に行われた実技競技②は、現実社会の課題につながる複雑な問題に対して、科学や数学の知を活用しながら問題解決をたのしむこと、そして仲間との協働を通じて考えを見直しながら与えられた条件下でよりよい解を追究することを主眼として、内容を事前に出場チームに公開している競技です。

今回の「リニアでGO!」は、超伝導リニアに採用されている技術を題材にした競技。コース上に設置した磁石の磁界とマシンに流れる電流によって発生する力を利用してコースを直進するマシンを製作し、どれだけ重いマシンをどれだけ遠くまで動かすことができるかを競いました。

実技競技2に取り組む選⼿たち
実技競技2の競技会場

各チームは3名で協力しながら、製作規定に基づいて、指定された製作材料の中から自由に選択してマシン1台とコースを製作しました。コースは全長200cm、プラスチック段ボールに磁石を配置してアルミテープ等を敷設します。アルミテープに電源装置の電流を流し、コース上に置いたマシンの一部をアルミテープに接触させるとマシンに電流を流すことができます。今回は、その際に磁界と電流の相互作用によって生じる力をマシンの推進力としてうまく利用し、より重いマシンをより遠くまで動かすことを目指します。

チームで協力してコースとマシンを製作する選手たち
事前に準備してきたアイデアをもとに
コースとマシンを製作する選手たち

チャレンジは各チーム3回行い、もっともよい走行距離の記録が採用されます。ただし、競技記録は、走行距離に加えて、コースに使用した磁石の個数やマシンの重量も用いて決定するため、よりよい競技記録を収めるためには、単に走行距離を伸ばすだけでなく、磁石の個数やマシンの重量も考慮した効果的な戦略とそれを実現することができるコースやマシンの工夫・設計が求められました。

出来上がったコースやマシンは、同じ条件で製作されたものとは思えないほどさまざまなバリエーションに富み、各チームがこの日までに何度も話し合い、試行錯誤を重ねてきたことがうかがえました。チャレンジ中は、競技に参加した選手たちはもちろんのこと、観客席にいるチームのメンバーや一般来場者も固唾を飲んで見守り、無事完走すると大きな歓声や拍手が上がりました。

コース上を走るマシンと選手たち
製作したコース上を走行するマシンを熱心に見守り、
完走を喜ぶ選手たち

千葉県代表チームが初優勝!

12月14日の表彰式では、国立研究開発法人科学技術振興機構の次田彰理事と、兵庫県教育委員会の大久保拓哉教育次長による挨拶に続いて、松本洋平文部科学大臣が「今後も身の回りのあらゆる事象に対して科学的な探究心と好奇心を持ち続け、未来を切り開く科学技術人材として将来国内外の様々な場面で活躍されることを期待しています」と選手全員にエールを送りました。

その後、各賞の受賞チームが順に発表されました。総合優勝は千葉県代表チーム。小浦審査委員長から大きなトロフィーを受け取ったキャプテンは「夢みたいで、本当に嬉しいです!!」と喜びを語りました。千葉県代表チームは今回、総合優勝に加え、筆記競技と実技競技②で第1位、さらに女子生徒3名以上を含むチームのうち総合成績最上位のチームに贈られる「女子生徒応援賞」を獲得しました。

受賞の喜びを語る優勝チームと式典会場全景
表彰式での成績発表

表彰式後、千葉県代表チームが優勝インタビューに臨みました。なんと、今回のチームは、昨年の第12回大会に1年生で出場し見事準優勝を獲得した5名に新たな仲間を加えたメンバー編成で、県大会に出場する学校代表メンバーを決定する校内選抜には1、2年生約100名が参加したといいます。インタビューでは、「昨年優勝できなかった悔しさをバネに、今年は放課後なども一生懸命工作に取り組んできたので、優勝できてうれしいです」「今もまだ正直実感がなくて、夢の中にいるみたいです」と率直な気持ちを語った選手たち。記者から「この1年間、どんな気持ちで具体的にどのように過ごしてきましたか?」と問われると、「5月下旬の選抜試験後は、まず8月の県大会に向けて夏休みや放課後に集まって練習しました。全国大会出場決定後は、事前公開競技が発表されるまでは各自筆記競技をメインに、発表後はみんなで毎日集まって工作に全力で取り組んできました」「昨年は1年生で2位を獲れてうれしかったのですが、その後しばらくして『やっぱり1位獲りたかったな』という気持ちが湧いてきました。そこで今年は、中1の自分たちに負けてはダメだと思い、目標を高めに設定するなど『どうしても1位を獲りたい!』という熱量で努力してきました」と振り返りました。インタビュー終了後には、大会関係者や記者たちから、彼らの健闘と優勝を称える大きな拍手が贈られました。

優勝チームは、2026年3月に開催される「第15回科学の甲子園全国大会」に特別招待されます。事前に出題内容が公開される実技競技③では、高校生の各代表校と一緒に対戦する機会も。これまでの活動で培った自慢のチームワークを活かした活躍に期待が高まります。

6人の選手と大会マスコット人形「アッピン」
優勝した千葉県代表チーム

「広げよう科学のこころ つなごう友情の絆」のスローガンのもと開催された第13回科学の甲子園ジュニア全国大会。全国から集まった選手たちは、チームで難問に挑むことを通じて科学の面白さを体感するとともに、学校や地域の枠を越えた同世代の仲間と交流を深めました。

第14回科学の甲子園ジュニア全国大会は2026年12月中旬に姫路市で行われる予定です。6月以降順次開催される、全国大会行きの切符をかけた都道府県大会への多くの中学生のチャレンジをお待ちしています。

大会会場に設置された横断幕
協働パートナーの皆様、応援ありがとうございました!

〜こんな一コマも〜

初日の夜に行われたアイスブレイクでは、お笑い芸人「ボルトボルズ」による「笑ってタメになるサイエンスショー」を開催。身近なものを使った不思議な現象について、楽しみながら科学を学ぶことができました。また、後半の「AorBクイズ」では、選手全員が立ち上がって時事や科学の問題に挑戦し、山口県代表の選手が見事全問正解を達成しました。

ステージでパフォーマンスを行う男性2人と選手たち
ボルトボルズによるサイエンスショーや
AorBクイズを楽しむ選手たち

また、3日目の午前中には、8つの協働パートナーによるブース展示の時間が設けられました。各ブースでは、事業について学ぶことができるクイズ形式のセミナーや実際に製品に触れることができる体験機会、参加型の科学実験ショーなど、科学好きな選手たちの知的好奇心をくすぐる企画が用意され、熱心に企業担当者の話に耳を傾けるだけでなく、質問を投げかけたり自身の考えを述べたりする積極的な選手の姿も多く見られました。

各ブースの展示を楽しむ選手たち
各企業が用意した体験や企画に参加する選手たち