国立研究開発法人 科学技術振興機構

第4回全国大会ダイジェスト・レポート

47都道府県代表の中学生がチームで科学の力を競う

「第4回 科学の甲子園ジュニア全国大会」が2016年12月2日~4日の3日間、BumB東京スポーツ文化館で開催されました。各地の予選会には合わせて25,000人を超える中学1、2年生が参加。本体会では、各都道府県を代表する47チーム計281名が、今年も仲間と協力しながら科学の筆記競技と実技競技に挑みました。

各都道府県代表選手全員での集合写真
【各都道府県の代表生徒全員集合】

科学を通してみんなに勇気と感動を

12月2日には開会式が行われました。各代表チームは自分たちの選んだ曲に合わせて登場し、大会にかける意気込みをユニークな演出を交えながら語りました。選手宣誓を行ったのは、群馬県代表の町山莉緒さんと難波至塁さん。2016年がリオデジャネイロ五輪の開催された記念すべき年であることに触れ、「大会スローガンの“広げよう科学のこころ つなごう友情の絆”のもと、スポーツオリンピックの代表選手のようにみんなに勇気と感動を与える戦いをすること」を誓い、3日間の大会が開幕しました。

工夫を凝らして入場する山梨県代表チーム
【アイデアにあふれた入場シーン】
選手宣誓を行う群馬県代表選手たち
【選手宣誓】

3日の午前中には、今大会最初の競技となる筆記競技が行われました。数学、情報、物理、化学、生物、地学からそれぞれ出題され、代表チームのメンバー6名全員で問題に挑みました。生徒たちは、一人ひとりが全力を尽くし、協力することで、チームとして大きな力が発揮できることを感じていたようでした。

筆記競技開始前の緊張した面持ちの選手たち
【筆記競技の開始直前、緊張の面持ち】
地球儀を使って筆記競技に取り組む選手たち
【地学の問題では地球儀も使用】

午後の実技競技①では、各代表チームから3名が出場し、当日発表された実験課題に取り組みました。今年の課題は「クロマトグラフィーで色素分析」。クロマトグラフィーでは物質をその性質によって分けることができます。これを利用して食品中にふくまれる色素や未知の試料に含まれる色素を分析しました。10種類の色素を決めるのに、制限時間の80分はあっという間に過ぎていきました。

実技競技1に取り組む選手1
【クロマトグラフィーに
スポットを打つ】
実技競技1に取り組む選手2
実技競技1に取り組む鹿児島県代表チーム
【集中して、ていねいな作業を】
保護めがねと白衣を着用して実技競技に取り組む大分県代表チーム
【実験は保護めがねと白衣を着用】
全員で作業の最終確認を行う栃木県代表チーム
【全員で作業の最終確認を】

実験後感想を聞くと、「クロマトグラフィーを使ったのは初めて。でも実験を繰り返すうちにコツを掴んだので、結構うまくできたと思っています」と奈良県代表チーム。徳島県代表チームの感想は「作業自体はそれほど難しくありませんでしたが、集中力が必要でした」。長野県代表チームは、「色がよくわからないものがありました。試料をうまく乗せられなかったんだと思います」、とコメントしました。初めての実験に戸惑いながらも、どのチームも精一杯に取り組んだようです。

続く実技競技②は、大会のマスコットキャラクターのアッピンを乗せたCDカー(CDを車輪にした車)の製作とレースでした。課題は1カ月前に公開されていたため、各チームが考案するCDカーの設計図が会場に貼り出され、来場者の目を引いていました。

CDカーの製作に使用する材料
【CDカーの材料】

これまで家や学校で何度も試作してきましたが、いつもとは違う緊張感の中、制限時間50分で作り、さらにレースに向けて走りを調整するのは容易なことではありません。それでも47チームすべてが車体を完成させ、そろってレースが行われました。

実技競技2に取り組む選手たち 1
実技競技2に取り組む選手たち 2
【仲間と協力してCDカーを製作中】
製作したCDカーでレースに臨む選手たち
【まっすぐに走ってくれるか?緊張のスタート】
製作したCDカーの走りを見守る選手たち
【エリア内に止まれ!とゴール直前の祈り】

優勝は、7メートルのコースを最速で走り抜け、停止エリア内にピタリと止まった沖縄代表チーム。「工夫したのは加速装置を付けたところです。ブレーキもかかります。夜遅くまで頑張った日もあるので、成果が発揮できて嬉しいです」と工作好きでリーダーとなった黒澤一真さん。「強力にサポートした」というメンバーの2人は、「どうしたらアクセルやブレーキができるのか。学びもあって面白かったです」と話し、今回のチャレンジで新たな発見をしたようでした。

実技競技2で優勝し、笑顔を見せる沖縄県代表チーム
【沖縄県代表チーム】

科学をめいっぱい楽しんだ大会に

すべての競技の後には、協働パートナーによるエキシビションが用意されていました。「クイズ!~空気のチカラ・水のチカラ~」(ケニス株式会社)、「マルチツールを駆使して橋をかけろ!」(株式会社学研ホールディングス)、「もっと知ろう身近な不思議」(株式会社ナリカ)、「パソコン分解ワークショップ」(株式会社東芝)と、どれも趣向を凝らした内容でした。リラックスした雰囲気で盛り上がった科学のクイズショーから、競技さながらの橋づくりまで、参加生徒たちはみな楽しい一時を過ごしていました。

協働パートナーによるエキシビションを楽しむ選手たち 1
「クイズ!~空気のチカラ・水のチカラ~」
協働パートナーによるエキシビションを楽しむ選手たち 2
「マルチツールを駆使して橋をかけろ!」
実験ショーの赤い大きな風船を見つめる選手たち
「もっと知ろう身近な不思議」
パソコンを分解するワークショップに参加する選手たち
「パソコン分解ワークショップ」

チームワークの良さで勝利を掴んだ群馬県代表チーム

最終日には表彰式が行われました。総合優勝は、選手宣誓をした群馬県代表、前橋市立第三中学校と伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校から成る混成チームです。大会審査委員長の永澤明 埼玉大学名誉教授はこのチームについて「筆記競技、実技競技のすべてで4位以内に入るという高成績で、各メンバーの能力の高さとチームワークの良さを合わせ持ったチーム」と評しました。
2位は大分県代表チーム、3位は前大会の覇者富山県代表チームという結果となりました。

ステージ上でガッツポーズを決める群馬県代表チーム

群馬県代表チームで、クロマトグラフィー実験を行った3名からは、「問題はどれも美しくて楽しかったです」。「協力しているうちに、チームワークがだんだん良くなるのが感じられました」。「みんなで取った優勝。メンバーに感謝しています」、といった言葉が聞かれました。また、アッピンカー制作を担当した3名は、「皆がいいものを作ってくれると信じられたので、自分の作業に集中できました」。「毎日昼休みと放課後に集まってつくりました。努力が実ってよかったです」。「CDカーは何台も作ってきたので、その時に培われた技術が本番で発揮できたのが嬉しいです」、と努力の成果が発揮できた喜びを語りました。

総合優勝を果たした群馬県代表チーム
【総合優勝おめでとう!群馬県代表チーム】

最後に主催の国立研究開発法人 科学技術振興機構の安藤慶明理事より、「これをきっかけに大きく羽ばたいて欲しい。高校生が出場する科学の甲子園でもぜひお会いしましょう」とこれからも科学を、そして仲間との交流を続けて欲しいという願いが伝えられ、閉幕となりました。

「第5回 科学の甲子園ジュニア全国大会」は2017年12月上旬に茨城県つくば市で開催される予定です。

第4回科学の甲子園ジュニア全国大会を支援してくださった協働パートナー一覧
【応援して頂いたみなさま】

〜こんな一コマも〜スワップミート

「科学の甲子園ジュニア全国大会」は文字通り、全国の科学好き中学生が一堂に会する貴重な機会です。生徒たちが交流を深められるように、開会式の後にはスワップミートと呼ばれる手土産などを交換する時間が設けられています。地元の特産品などを交換したり、おしゃべりしたりしているうちに、明日の競技を前に、みんなすっかり仲良くなっていました。

スワップミートを楽しむ選手たち
地元の特産品などを交換し合う選手たち